真のHDRの特長をJPEG規格にもたらすJPEG-HDR
JPEG-HDRフォーマットは、8ビットを超えるハイダイナミックレンジのデータをすべて格納し、ユーザーがこのレンジ全体を使用してポストプロセス中に画像を編集できるようにします。一方、現在のスマートフォンのHDRモードは、独自のアルゴリズムに基づいて画像のトーンマッピングを自動的に行い、元のHDRデータがなくても1つの圧縮画像を提供するため、ユーザーの好みに合わせてポストプロセスを回避します。
トーンマッピング: 偽りのHDR
トーンマッピングとは画像処理に使用される手法のことで、1つのカラーセットを別のカラーセットにマッピングして、ダイナミックレンジが制限されているメディアのハイダイナミックレンジ画像の外観を見積もります。トーンマッピングは、オリジナルシーンの輝度の強いコントラストが表示可能な範囲まで減少してしまう問題を解決すると同時に、オリジナルシーンのコンテンツを評価するために重要な画像のディテールと発色を保持します。
JPEG-HDR: 従来のJPEGとの後方互換性
JPEG-HDRは後方互換性があるJPEGの拡張で、ハイダイナミックレンジの写真に対してISOにより規格化されています。従来のJPEGデコーダーは、一般的にトーンマッピングされた8ビット画像であるJPEG-HDRに埋め込まれたベースラインJPEGストリームをデコードします。JPEG-HDRデコーダーは、この新しいフォーマットの拡張部分に追加データを使用して、HDR画像全体を復元できます。
通常、JPEG-HDRファイルは、従来のJPEGファイルよりも20~30%容量が増加しています。
他のHDRフォーマット: 制限
Radiance(.hdr)やOpen EXR(.exr)などのHDR画像フォーマットが存在しますが、これらのファイルは一般的にJPEG-HDRファイルよりも10倍の容量があるため、共有やクラウド同期などの多くの使用例には適しません。もう1つのフォーマットであるJPEG-XRはHDRに対応していますが、JPEGとの後方互換性がないため、多くのユーザーの間で定着することはありませんでした。
製品へのJPEG-HDRの搭載
キャプチャー機器メーカーは、独自のインプリメンテーションを構築するか、サードパーティが開発したインプリメンテーションを使用できます。詳細については、ドルビーにお問い合わせください。
PCソフトウェアプロバイダーまたはモバイルアプリディベロッパーの方で、JPEG-HDRフォーマットに関心がある場合は、間もなく公開される予定のリファレンスソフトウェアインプリメーションに基づいて独自のインプリメンテーションを構築してください。後日、このサイトをチェックしてこのインプリメンテーションをダウンロードしてください。
モバイル機器用写真アプリの開発におけるJPEG-HDRの特長
JPEG-HDRは、以前は利用できなかった追加の画像データを提供できるため、可能性が大きく拡大されます。たとえば、より高度な写真補正が可能で、トーンマッピング機能も強化されています。以前は見えなかった画像のディテールが見えるようになると、画像が把握しやすくなり、エンドユーザーにとってわかりやすいストーリー展開ができるようになります。より優れた印刷品質でユーザーをサポートすることもできます。